2019gsc_ShuntaNakanishi

【2019年度ゼミ論】伊豆大島の観光目線での伊豆大島の現状レポート

学籍番号:1A117117 氏名:中西 駿太 

地球社会共生学部 地球社会共生学科 3年A組110番

指導教員:古橋 大地 教授

【2019年度ゼミ論】タイトル:伊豆大島の観光目線での伊豆大島の現状レポート

概要

本研究は伊豆諸島最大の島「伊豆大島」をフィールドに、過去の度重なる自然災害、現地の独特な気候や文化を観光目線で把握し、伊豆大島の”今”(現状)を確認し報告をするものである。それと同時に、かつて本研究室が伊豆大島合宿を行いドローンによる空撮をしたり、地域資源発掘型実証プログラムとして「ドローンフェスIN伊豆大島」(古橋教授講演)が開催されたりしたことも踏まえ、ドローンを活用し4年次も引き続き伊豆大島をフィールドに研究を進めていくべく現地でドローンを実際に飛ばし、飛ばす上での注意点等を調べる。したがって、本研究は4年次へつながる研究となっている。
本研究は一般社団法人 大島観光協会の岡田雅司氏の協力のもと行い、同氏と共に伊豆大島(以下“大島”)各地を訪問しつつ島の現状等の情報を同氏へのインタビューで聞き取りを行った。それと同時に伊豆大島で実際にドローンを飛ばせるかの確認をするため同氏の立ち合い、指導のもとドローンを使い島内各名所の空撮を行った。

(伊豆大島ドローン空撮映像 Short Var.) https://drive.google.com/open?id=1ulf94V2i-NCVKKYpK-4FfEzAZuMMvSZr

調査を進める中で注目したのが、大島の「放置林問題」である。2013年10月の台風26号「ウィパー」による大雨で発生した大規模土砂災害では、土砂と共に流された流木によって家屋を破壊し、甚大な被害をもたらした。木は管理(間伐)を行わなければ根が奥まで張られない。そのため、大雨が降った最は大木を支えられずに崩落し土砂災害を引き起こす。島の若者の人口流出により森林の管理が行われなくなり杉の放置林が増加している。放置林は土砂災害の被害の拡大の要因となり再び甚大な被害が発生する恐れがある。今回の研究では2019年の台風15号「ファクサイ」で破壊された杉林上空を撮影し、規模を実際に確認した。調査を進める中で「放置林問題」が今後大きな課題となることが浮き彫りになった。

研究紹介(Introduction)

東京都心から南に120kmの洋上に浮かぶ「伊豆大島」(以下“大島”)は島の中央に聳える三原山(758m)を中心に人と自然が共存する雄大な自然を持つ島である。それゆえに数々の自然災害に襲われ、今も次なる災害に向き合っている島でもある。三原山は1986年に大規模噴火を起こし、噴火周期を考慮すると数年以内に同規模の噴火が発生すると言われている。今回研究を行う上で注目した、2013年の大規模土砂災害。2019年の台風15号「ファクサイ」では竜巻に匹敵する風が町を襲い多数の家屋に被害が出た。そんな大島では新たな災害の要因となる「放置林問題」が浮き彫りとなり次年度この研究を行うため調査をした。
この研究では島を訪問し、現在の伊豆大島の現状を知り、確認をする。また、伊豆大島をフィールドにドローンを使った研究(現時点では杉の放置林の植生調査)を4年次に実際にできるかを確かめるためにドローンを飛ばし、島でドローンを飛ばす際に留意する点の調査をした。

結果(Result)

伊豆諸島の北部に位置し、”都心から最も近い離島”として多くの観光客が訪れる大島。大島までは東京/竹芝桟橋から東海汽船の客船で約8時間かかる。最盛期の昭和40年代には年間80万人が訪れ、現在は年間22万人が訪れている。人口は最盛期には13,000人いたが、現在は7,600人ほどになっている。黒潮の影響により年間の平均気温は16℃。ただし“大島のシンボル”三原山により、標高や風向きなどにもよるが島内だけでおよそ5℃気温の違いがある。島の主な産業は椿と漁業が中心。かつては島で飲料の確保が難しかったことから酪農が盛んに行われていたが現在は「大島牛乳」が保有する牧場のみとなっている。しかしその名残から「牛乳せんべい」が島の人気の特産品となっている。
大島の全域は人口密集地外であるが、島自体が環境省の特別保護地区に指定されているためドローンを必ず回収しなければならない。国土交通省のガイドラインを鑑みても大島内では基本的にドローンを飛ばすことができる。しかし、風を考慮に入れると決してドローンを飛ばしやすい環境とは言えないことが判明した。大島の年平均風速は4.9m/sで全国のアメダスで風の観測をしている800地点のうち16位と全国的に見てもかなりの強風地域と言える。風向は年間通しての北東の風(ナライ)と、冬季の西南西の風(ニシ)、春から夏にかけての南から南西の風(ナガシ)が吹き季節によって風向は全く異なる。また夜間と日中で冷たい風が吹き下ろされる山風、海面からの風が山を吹き上げる海風がそれぞれ吹くということも考慮に入れる必要がある。ドローンを飛ばす際は以下の点を頭に入れつつ“三原山の影”に入ることが必須である。三原山の外輪山の淵では急に風向きが変化するため三原山外輪山を飛行することは風が静穏でない限り飛ばすべきではない。

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大島の月別風向出現率(東京管区気象台HPより)

研究議論(Discussion)

調査を進める中で注目したのが、大島の「放置林問題」である。本研究でご協力を頂いた一般社団法人 大島観光協会の岡田雅司氏は実家が林業を営んでいることもあり、同氏が懸念しているスギの放置林について多くの事を聞いて議論をした。2013年10月の台風26号「ウィパー」による大雨で発生した大規模土砂災害では、土砂と共に流された流木によって家屋を破壊し、甚大な被害をもたらした。同氏が働く大島観光協会にも土砂が20cmほど押し寄せたが流木の衝突を免れ被害は少なかった。一方で土砂を受けた神達地区をはじめとし多くの家屋が流木により破壊された。

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なぜ山に木が多すぎると土砂崩れが起きるのか - 痩せるコーラよりhttps://www.yaserucola.com/entry/dosyasaigai

木は間伐ということを行わなければ根が奥まで張られない。一定の間を空けずに木を植えると太陽の光を求めようとし周りの他の木より高く成長しなげれば太陽の光を受けられない。したがって、上へ上へと伸びて成長するということになる。間伐が行われない放置林の場合、密集して木が植えられているので隣合う木と栄養を奪い合ってヒョロヒョロにしか育たない。ヒョロヒョロな木は材木としての価値がなく買い取りがされない。そして、根が育たないため保水性が非常に低くなる。そのため、大雨が降った最は大木を支えられずに崩落し土砂災害を引き起こす。このように放置林は土砂災害の被害の拡大の要因となり再び甚大な被害が発生する恐れがある。今回の研究では2019年の台風15号「ファクサイ」で破壊された管理が行われていない杉林上空を撮影し、放置された木の脆さやその規模、実態を実際に確認した。

結論・課題(Conclusion)

今回の研究で調査を進める中で、ドローンを飛ばす際にどのように”三原山の影”に入るかという点と、大島で深刻化しつつある「放置林問題」が今後課題となることが浮き彫りになった。
現時点ではDJIの機体は標高表示が出ていなく判別ができない。山を超えると一気に風が強まったり風向が変わったりしてドローンが墜落する危険がある。今後はGoogle Earth や高度計測アプリを使い、風計測アプリ「WINDY」を使いつつドローンを飛ばす必要があると感じた。
2013年10月の台風26号「ウィパー」による大雨で発生した大規模土砂災害では、土砂と共に流された流木によって家屋を破壊し、甚大な被害をもたらした。放置林は土砂災害の被害の拡大の要因となり再び甚大な被害が発生する恐れがある。今回の研究では2019年の台風15号「ファクサイ」で破壊された杉林上空を撮影し、規模を実際に確認した。日本の森の45%は人工的に作られたものである。したがって、この放置林問題は大島だけの問題ではなく近い将来全国的な問題、国の問題となる可能性がある。

参考文献・資料(Reference)

ゼミ論最終発表

・なぜ山に木が多すぎると土砂崩れが起きるのか - 痩せるコーラ https://www.yaserucola.com/entry/dosyasaigai 

・気象の話 大島の風 http://www13.plala.or.jp/oosimakisyou/1kaze.htm 

・2013.10.16土砂災害 - 伊豆大島ジオパーク・データミュージアム http://oshima.georepublic.jp/2013.10.16%E5%9C%9F%E7%A0%82%E7%81%BD%E5%AE%B3

・11月21日は、1986年三原山大噴火と全島民避難の日、真の政治主導の危機管理に学ぶ | Challenge Next Stage 〜目指せ!出版への道〜 http://co-smart.net/?p=5848

・人口集中地区(DID) 平成27年|国土地理院 https://www.gsi.go.jp/chizujoho/h27did.html

・東京島じまん食材使用店 / 東京都産業労働局 著 / 東京都 産業労働局 農林水産部 食料安全課 発行 / p8~35

・朝日新聞 聞蔵Ⅱビジュアル

Strava

https://www.strava.com/activities/2931113666

https://www.strava.com/activities/2931257504

https://www.strava.com/activities/2931198709

https://www.strava.com/activities/2931257504

伊豆大島基礎情報

■伊豆大島wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%B1%86%E5%A4%A7%E5%B3%B6

■伊豆大島観光協会HP http://www.izu-oshima.or.jp/

■紹介動画 ・https://youtu.be/Gvx8_D5nj68

https://youtu.be/6lce8hwRyZs

先行事例

■ドローンフェス ― 伊豆大島観光協会 http://www.izu-oshima.or.jp/pdf/drone%20event.pdf

■古橋研究室 伊豆大島合宿 Medium Ayame Otsuki https://medium.com/furuhashilab/%E3%82%BC%E3%83%9F%E5%90%88%E5%AE%BF-%E4%BC%8A%E8%B1%86%E5%A4%A7%E5%B3%B6-88ed09b33fa7

■古橋研究室 ドローン撮影動画 ・https://encrypted-vtbn3.gstatic.com/video?q=tbn:ANd9GcSGeHiOb-zGq9TABImlW9N4MIhE5n_bojAka5xJ60Sttxx1njmh

https://encrypted-vtbn0.gstatic.com/video?q=tbn:ANd9GcRnWRPNZ5LUgVSAD3ch5BTd27lZvqRES52Ps6gE8L48j_EWGxNI

ドローンツーリズム進捗状況

■参考事例:

http://www.dron-e-motion.co.jp/316%e9%87%91%e3%80%9c17%e5%9c%9f%e9%96%8b%e5%82%ac-%e3%80%8c%e7%89%b9%e6%80%a5%e3%83%ac%e3%83%83%e3%83%89%e3%82%a2%e3%83%ad%e3%83%bc%e5%8f%b7%e3%81%a7%e8%a1%8c%e3%81%8f-%e7%a7%a9%e7%88%b6/

■伊豆半島ドローンツーリズム事例

https://www.drone.jp/column/20190225120526.html

伊豆大島ドローン飛行調査

https://www.facebook.com/mapconcierge/posts/2979103442118607

謝辞(Acknowledgements)

本研究を進めるにあたり一般社団法人 大島観光協会の岡田雅司氏、古橋大地教授をはじめ多くの方々より多大な助言を賜りました。厚く感謝を申し上げます。

以上

2020年1月20日 中西 駿太 CC-BY4.0

【2019年度ゼミ論】提出用アブストラクトテンプレート

https://docs.google.com/document/d/1nYEfIbsow8ICGCpd4HIupMZR9cOiKXeT2lJIo3gMMFE/edit?usp=drivesdk

【2019年度ゼミ論】最終発表プレゼンテーションスライド(発表資料)

https://drive.google.com/open?id=10_nguC1Y37i4XYlyGRZYC2Ymu1GN2FOzES6XgdL6eXc

伊豆大島ドローン空撮映像 Short Var.

https://drive.google.com/open?id=1ulf94V2i-NCVKKYpK-4FfEzAZuMMvSZr

進捗状況

https://github.com/furuhashilab/sotsuron2019/projects/8?fullscreen=true

© Furuhashi Laboratory/Shunta Nakanishi, CC BY 4.0